計画研究班B01 佐々木班 船水章大(東京大学定量生命科学研究所)らの論文がNature Communicationsに掲載されました。

K. Ishizu, S. Nishimoto, Y. Ueoka, A. Funamizu
Localized and global representation of prior value, sensory evidence, and choice in male mouse cerebral cortex.
Nature Communications (2024), 15: 4071. doi: 10.1038/s41467-024-48338-6

プレスリリース
https://www.iqb.u-tokyo.ac.jp/pressrelease/20240522/

東京大学定量生命科学附属高度細胞多様性研究センター神経計算研究分野の石津助教(研究当時)、船水講師らによる研究グループは、脳が経験や予測を、脳全体で表現することを明らかにしました。野球の打者は、一瞬で通り過ぎるボールの軌道といった視覚情報だけでなく、球種やコースの予測に基づいてバットを振ります。研究グループは、このような感覚刺激と予測の統合が、脳でどのように行われるかを検証しました。
これまで脳では、特定の場所が特定の情報を表現すると考えられてきました。しかし、このような脳の機能局在構造が、予測の表現にも当てはまるかは、詳しくわかっていませんでした。本研究は、マウスの行動実験と、脳の神経活動の大規模計測、AIを用いた神経活動解析で、脳の大脳皮質の様々な場所が、予測を均等に表現することを発見しました。
ヒトは、ボールの球種から他者の気持ちまで、様々な事柄を予測します。予測の不調や暴走が、精神疾患に繋がる可能性があります。本研究は精神疾患の作用機序の理解や治療に繋がることが期待されます。