自閉症における社会性回路遷移機構の解明 /Social circuit transition mechanisms in autism
内匠 透 /Toru Takumi
神戸大学 大学院医学研究科 教授
Kobe University School of Medicine, Professor
HPリンク
研究室HP:https://www.med.kobe-u.ac.jp/physiol/index.html
リサーチマップ:https://researchmap.jp/autism
社会性行動は多次元かつ複雑な行動からなり、代表的なヒトの行動である。マウスにおいては、社会行動の神経回路(社会性回路)研究は光遺伝学等のシステム神経科学的技術の進歩とともに急速にその理解が進んでいる。しかしながら、社会行動中の神経回路ネットワーク動態を記録、解析する方法は確立されていなかった。我々は、微小顕微鏡を用いて社会行動中マウスの大脳島皮質で「ソーシャルセル」を同定した。また、バーチャルリアリティー(VR)を利用して社会行動を生み出す脳ネットワーク動態をリアルタイムで可視化する系を立ち上げた。本研究では、社会性回路のシステム脳科学的解析に、VRを用いた大脳皮質ネットワーク動態解析と島皮質の単一細胞トランスクリプトーム解析を組み合わせて、ソーシャルセルがどのような特性を示して社会性回路に至るかをセンサス的に追跡する。本成果は、社会行動及びその異常としての自閉スペクトラム症(自閉症)の責任回路の特定に繋がることが期待される。
文献
- Kaizuka et al. (2024) Remodeling of the postsynaptic proteome in male mice and marmosets during synapse development. Nat Commun 15:2496.
- Sato et al. (2023) Social circuits and their dysfunction in autism spectrum disorder. Mol Psychiatry 28: 3194-3206.
- Nakai et al. (2023) Virtual reality-based real-time imaging reveals abnormal cortical dynamics during behavioral transitions in a mouse model of autism. Cell Rep 42: 112258.
- Miura et al (2020) Encoding of social exploration by neural ensembles in the insular cortex. PLoS Biol 18: e30000584.