C02 センサスデータ駆動による適応回路の理論構築
研究代表者
島崎 秀昭
准教授 京都大学大学院 情報学研究科
HPリンク
https://www.neuralengine.org/index_jp.html
https://researchmap.jp/shimazaki
研究分担者
田中 琢真
准教授 滋賀大学 大学院データサイエンス研究科
HPリンク
https://tanaka-takuma-lab.github.io/site/
https://researchmap.jp/ttakuma
神経細胞集団活動の遷移を可視化する時系列解析技術と適応・学習の理論を一貫した数理モデルで構築して比較検討することで、データに基づく統一的な適応理論を構築し、適応を担う基盤回路とその原理を明らかにします。
生物は時事刻々と変化する環境に効率的かつ柔軟に適応します。生物の環境への適応を実質的に担う神経細胞集団・回路は何でしょうか、そしてそのような回路が従う適応の原理は何でしょうか?この問いに応えるためには、詳細な細胞プロファイルを取り込んだデータ解析と、適応・学習の理論モデルに基づく予測を組み合わせて、適応の情報論的な機構を遺伝子・回路レベルで明らかにすることが必要です。
本計画研究では、これまでに構築してきた神経細胞集団活動の時系列解析技術を多様な細胞情報を活用することができるように深化・拡張し、実験班の協力のもと、この技術を、適応・学習中の動物から記録され、細胞プロファイルが付加された大規模神経活動データに適用します。これにより適応・学習のダイナミクスを可視化し、変化を担う細胞種や情報符号化に関わる細胞腫を明らかにします。同時に、適応・学習の理論モデルを構築して原理に基づく学習則を導出し、理論予測と観測された学習ダイナミクスを比較することで適応原理の仮説を検証します。この直接的な比較検証を可能にするために、データ解析と理論構築を同一の数理的枠組みで行う研究プログラムを構築します。統一的な視点のもとで行うデータ解析・理論構築の双方向からのアプローチにより「先進的な神経回路活動の計測・操作技術と網羅的な遺伝子発現の解析技術に基づいて適応を担う基盤回路とその原理を解明する」という学術的な課題に挑みます。
【研究紹介図】
主要な関連論文
- Aguilera M et al. (2021) A unifying framework for mean-field theories of asymmetric kinetic Ising systems. Nat Commun 12(1): 1197.
- Donner C et al. (2017) Approximate inference for time-varying interactions and macroscopic dynamics of neural populations. PLoS Comput Biol 13: e1005309.
- Shimazaki H et al. (2012) Approximate inference for time-varying interactions and macroscopic dynamics of neural populations. PLoS Comput Biol 8: e1002385.