公募研究班C01:安部班 安部健太郎(東北大学大学院生命科学研究科)の論文がNature Communications誌に掲載されました。

Takuto Kawaji, Mizuki Fujibayashi & Kentaro Abe
Goal-directed and flexible modulation of syllable sequence within birdsong
Nature Communications 15, 3419 (2024)
doi: 10.1038/s41467-024-47824-1

鳴禽類(スズメ亜目)は、さえずりや歌と呼ばれる音声を用いてコミュニケーションをとりますが、彼らがさえずり中の音の並びを意図的に変えられるのかどうかは分かっていませんでした。我々は、さえずりの内容を迅速に識別するコンピュータープログラムを作成しました。そしてこのプログラムを用いてジュウシマツが発する自然なさえずりを解析し、さえずり中の繰り返し音が設定した数を超過した場合にのみ、他の個体の様子を記録した動画を液晶モニター画面からフィードバックとして提示する実験を行いました。その結果、鳴禽類はさえずり中の音の並びを意図的に変えられることを明らかにしました。
本研究は鳴禽類の音声コミュニケーションの特性を明らかにする重要な成果です。
今後、ジュウシマツが柔軟に音声を使い分ける際の脳内機構の詳細を明らかにすることで、ヒトの言語の生成・認識能力の脳内機構の解明に貢献することが期待されます。

フィードバック実験のイメージ図
本研究ではジュウシマツが発する音声の内容を迅速に解読し、内容に応じて他の個体の動画を液晶モニターに提示するという実験を行いました。