計画研究班B01:小林班 井口善生(福島県立医科大学・生体機能研究部門)の論文がCommunications Biology誌に掲載されました。
Yoshio Iguchi, Ryoji Fukabori, Shigeki Kato, Kazumi Takahashi, Satoshi Eifuku, Yuko Maejima, Kenju Shimomura, Hiroshi Mizuma, Aya Mawatari, Hisashi Doi, Yilong Cui, Hirotaka Onoe, Keigo Hikishima, Makoto Osanai, Takuma Nishijo, Toshihiko Momiyama, Richard Benton, and Kazuto Kobayashi
Chemogenetic activation of mammalian brain neurons expressing insect Ionotropic Receptors by systemic ligand precursor administration
Communications Biology volume 7, Article number: 547 (2024)
doi: https://doi.org/10.1038/s42003-024-06223-4
我々のグループはすでに,ショウジョウバエのにおい受容体が特定のにおい物質に応答して活性化する仕組みを利用した哺乳類脳神経細胞の活性化技術を世界に先駆けて発表していました。しかし,哺乳類動物の脳は血液脳関門によって保護されているため,におい物質の脳内への効率的な供給に課題が残されていました。そこで,血液脳関門に取り込まれやすくなるような化学的修飾をにおい物質に施すことで効率的な脳内への移行を実現し,マウスやラットの脳内でハエのにおい受容体を発現する神経細胞が活性化することを突きとめました。本研究の成果は,複雑な認知や行動を作り出す脳神経系のメカニズムの全容解明や,加齢や疾患によって機能低下した神経細胞の再活性化による治療法開発に繋がるものと期待されます。